シンガポールのAI企業Tokuは2026年10月21日、新しい音声処理ツール「Makimoto Flows」を公開した。
Makimoto Flowsは、録音した音声を文字起こしし、その内容を要約したり、話題ごとに分類したりできるサービスである。ブラウザ上で処理の順番を組み立てられるため、プログラミングの知識がなくても基本的な操作を試せる。
新規アカウントには毎月1,000分の無料文字起こし枠が用意されている。16時間40分に相当する音声を無料枠の範囲で処理できるため、録音データを継続的に整理したい人にも選択肢となる。
Makimoto Flowsで何ができる?
Makimoto Flowsは、音声認識や文章の分析を組み合わせ、一連の作業を自動化するためのツールである。
例えば、顧客との電話を録音したあと、その音声を文字に起こし、問い合わせ内容を要約し、対応が完了したかどうかを分類するといった処理を行える。
通常、こうした作業を自動化するには、それぞれのAIサービスを接続するプログラムが必要になることもある。
Makimoto Flowsでは、画面上に用意された処理用のブロックをつなぐことで、作業の流れを組み立てられる。
文字起こしから要約までを一度に処理
現在用意されている主な機能は、文字起こし、要約、タグ付けの3種類である。
文字起こしには、同社が開発した音声認識システム「Kawa」を使用する。録音ファイルを読み込ませると、発言内容を文章に変換できる。
要約機能では、文字起こしされた文章から会話の主題や概要を生成する。
さらに、タグ付け機能では、会話の目的や対応結果、顧客の感情などを分類できる。
例えば、商品の返品について問い合わせを受けた場合、会話の内容から返品や返金に関する話題を抽出し、追加対応が必要かどうかを整理する用途が考えられる。
ただし、AIによる要約や分類には誤りが生じることもある。重要な判断に使用する場合は、元の録音や文字起こし結果との照合が必要である。
プログラミングなしで処理を組み立てられる
今回公開されたMakimoto Flowsの特徴は、複数の処理をブラウザ上で視覚的に組み立てられる点にある。
操作画面では、処理内容を表すブロックを配置し、線で接続して実行する。
例えば、次のような順番で処理できる。
- Start:処理を開始する
- Transcribe:録音を文字起こしする
- Summarise:会話の内容を要約する
- Tags:会話の内容を分類する
それぞれの処理結果は個別に確認できるため、文字起こしの結果を見てから要約を確認したり、分類結果だけを調べたりすることも可能である。
最初から用意されたテンプレートも利用可能
Makimoto Flowsには「Chained Analysis」というテンプレートが用意されている。
これは、文字起こしから要約、タグ付けまでをあらかじめ組み合わせたものである。
初めて利用する場合は、テンプレートを選択してサンプル音声を処理することで、各機能の動作を確認できる。
また、作成した処理の流れをPythonのコードとして出力する機能もある。
Pythonは、AI開発やデータ分析などで広く使用されているプログラミング言語だ。
出力したコードを利用すれば、Makimotoの機能を独自のアプリや業務システムへ組み込むこともできる。ただし、実際のアプリへの組み込みには、APIキーの設定などが必要になる。
毎月1,000分の文字起こしが無料
Makimotoの公式ドキュメントによると、アカウントには毎月1,000分の無料文字起こし枠が用意されている。
1日あたり約33分、30日間で合計1,000分の音声を処理できる計算である。
文字起こしした内容は、その後の要約や分類にも利用できる。
また、処理が失敗した場合、その音声は文字起こしの利用枠に計上されない。
無料枠の残りは確認できる?
利用可能な文字起こし時間は、Makimotoの開発者向け管理画面で確認できる。
無料枠を超える音声を送信した場合は、利用上限を超えたことを示すエラーが返される。
さらに多くの音声を処理したい場合は、提供元へ問い合わせて利用プランを相談する仕組みになっている。
なお、毎月1,000分という数字は文字起こしの無料枠である。すべての機能を無制限に利用できるという意味ではないため、要約や分類についても実際のアカウントに表示される条件を確認しておきたい。
Makimoto Flowsの使い方
Makimoto Flowsは公式サイトから利用できる。
公式サイトでは、アカウントを作成する前にサンプル音声を使ったデモを確認できる。
実際に自分の音声を処理する場合は、アカウント登録が必要である。
初めて利用する場合の手順
まず、Makimotoの公式サイトへアクセスする。

サイト内の「Flows」からデモを表示すると、あらかじめ用意されたサンプル音声を使って処理の流れを確認できる。
自分の録音ファイルを処理する場合は、無料アカウントを作成し、Flowsの画面で新しい処理を作成する。
最初は「Chained Analysis」のテンプレートを使用すると、文字起こしから要約までの流れを把握しやすい。
その後、処理したい音声を指定して実行すれば、各ブロックの結果を確認できる。
APIを使った詳しい導入手順については、公式ドキュメントに掲載されている。
利用前に確認したい注意点
無料枠は比較的大きいものの、アップロードできる音声ファイルには制限がある。
また、音声に含まれる言語や録音方法によって、文字起こし結果が変わる可能性もある。
アップロードできるのはMP3とWAV
公式ドキュメントで案内されている文字起こしAPIでは、MP3とWAVの2種類に対応している。
1回にアップロードできるファイルの最大サイズは10MBである。
そのため、長時間の録音を一つのファイルとして送信すると、容量制限に達する場合がある。
例えば、一般的な128kbpsのMP3では、約11分で10MBに達する。音声の圧縮率を変更したり、録音を分割したりすることで対応できる。
ただし、圧縮しすぎると音声の品質が低下し、文字起こしの精度にも影響する可能性がある。
話者の区別には制限がある
Kawaには、録音内の発言者を区別する機能がある。
ただし、現時点ではステレオ音声の左右のチャンネルを利用した話者の区別に限られている。
例えば、電話の相手と自分の声が左右のチャンネルに分かれて録音されている場合、それぞれを区別できる。
一方、複数人の声が一つの音声チャンネルに混ざっている場合は、発言者を正確に分離できるとは限らない。
会議室で録音した音声などに使用する際は注意が必要である。
日本語への対応状況は?
Makimotoはアジア太平洋地域の言語やアクセント、複数言語が混在する会話への対応を重視している。
ただし、今回確認した公式ドキュメントでは、日本語の対応範囲や認識精度を具体的に保証する案内は確認できなかった。
日本語の録音を処理したい場合は、まず短い音声を使い、正常に文字起こしできるか確認するのがよい。
また、音声データはシンガポールにあるサーバーで処理される。
顧客との通話や会議の録音など、個人情報や機密情報を含むファイルを扱う場合は、録音相手の同意や社内規則、データの取り扱い条件も確認しておきたい。
公式FAQでは、対応ファイル形式や利用制限、データの保存場所について説明されている。
録音データの整理を自動化できる選択肢
Tokuは2026年10月21日、音声の文字起こし、要約、分類を組み合わせられる新ツール「Makimoto Flows」を公開した。
ブラウザ上で処理を組み立てられ、プログラミングをせずにサンプル音声で試せるほか、作成した処理をPythonのコードとして出力することもできる。
無料アカウントには毎月1,000分の文字起こし枠が用意されている。
一方、現在は録音済み音声の処理が中心であり、リアルタイムの文字起こしには対応していない。また、音声ファイルの容量制限や、話者を区別する仕組みにも注意が必要である。
まずは公式サイトのデモで操作方法を確認し、実際の音声を使用する際は、対応形式や文字起こし精度を確かめるとよい。
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